YetiForceCRMには営業やマーケティング向けの機能だけでなく、在庫・物流管理をサポートするためのモジュールも用意されています。これらを活用すると、「商品の入庫(受領)」「出庫(出荷)」「倉庫間の移動」などをシステムで管理し、在庫やロケーションを正確に把握することができます。以下では、代表的な物流関連モジュールの概要と、実際にどのような手順で入庫・出庫・移動処理を進めるかを解説します。


1. YetiForceCRMの物流関連モジュールの概要

● Products(製品)/ Services(サービス)

  • 製品マスタに相当するモジュールで、SKUや製品名、標準価格、税率、重量・サイズなど、商品の基本情報を登録します。
  • 倉庫在庫を管理する上での「商品ID」を付与し、入庫・出庫の対象となる商品を紐づける際に使用します。

● Vendors(仕入先)

  • 仕入先(サプライヤー)情報を管理し、購買プロセスに紐づけることができます。入庫処理などと連動させることで、どの仕入先から入ってきた商品かを追跡可能です。

● Purchase Orders(購買発注)

  • 仕入れの発注情報を管理するモジュール。受注ベースで入庫処理の計画を立てる場合に使用します。
  • “商品の入庫”を行う前段階として、どの仕入先にいつ・どの製品をどれだけ発注したかを記録しておくと、在庫補充の根拠が明確になります。

● Sales Orders(販売受注)

  • 販売側の受注情報を管理するモジュール。出荷(出庫)時に必要な「どのお客様に、どの商品を、いくつ送るか」の情報を記録し、倉庫から在庫を引き当てる根拠になります。

● Invoices / Shipment(請求・配送関連)

  • 出荷に伴う請求書発行や配送情報を管理するモジュール。出庫処理と連動して売上管理発送状況を追跡できます。

● Warehouses / Inventory(倉庫・在庫管理)

  • バージョンやセットアップによってモジュール名が違う場合がありますが、倉庫別の在庫量や「在庫移動(Transfer)」を扱う機能が含まれます。
  • 倉庫を複数持つ場合に、倉庫ごとに在庫数量を区別して管理したり、倉庫間移動の記録をつけたりできます。

注意:
– 標準のYetiForceCRMには「複数倉庫管理」や「入出庫伝票」モジュールが直接備わっていない場合があります。その場合、「Purchase Orders」「Sales Orders」「Goods Received Notes」「Inventory」などをカスタマイズして運用するか、プラグインや拡張モジュールを導入して在庫管理機能を強化するケースがあります。
– 本解説では、標準モジュールや一般的な拡張で実現できる「入庫・出庫・移動」の大まかな考え方を紹介します。


2. 商品の入庫(受領)処理の進め方

「入庫」とは、仕入れや製造完了などによって商品が倉庫に入ってくる作業です。YetiForceCRMで入庫を管理する基本的な流れは以下のとおりです。

  1. Productsモジュールで製品マスタを登録
    • SKU、製品名、単価などを事前に登録しておきます。
  2. Purchase Ordersで購買発注情報を作成(任意)
    • 仕入先(Vendor)を紐づけて「A製品を100個発注」などの注文データを作成。
    • 発注時に「入庫予定日」や「単価・合計金額」なども記録しておくと、会計・財務処理にも役立ちます。
  3. 入庫処理(Goods Received / 入庫記録)
    • 倉庫モジュールや在庫管理画面から、どの製品を何個入庫したかを登録します。
    • このとき、Purchase Ordersと紐づけて「○○発注分が納品された」という形で入庫数を確定すると、在庫数量が更新され、ステータスも「受領済み」に変わります。
  4. 在庫が更新される
    • 在庫管理モジュール(または拡張機能)で、倉庫ごとの在庫数が増加します。
    • 入庫伝票のような形で記録を残し、納品日や仕入先、発注番号などを追跡できるようにします。

● ワークフローの活用例

  • Purchase Ordersのステータスが「受領完了」に変更されたら、自動的に在庫を追加処理するといったワークフローを組むことができます。
  • 入庫完了時に倉庫担当や経理担当へ自動通知するフローを作り、リアルタイムで情報共有を図ることも可能です。

3. 商品の出庫(出荷)処理の進め方

「出庫」は、顧客への出荷や社内での消費など、倉庫から品物が出ていく作業です。YetiForceCRM上での一般的な流れは以下のとおりです。

  1. Sales Orders(販売受注)モジュールで受注情報を作成
    • どの顧客(Accounts)から何をいくつ注文されたかを入力します。
    • 受注ステータスを「処理中」にしておくと、倉庫から出荷指示ができる状態になります。
  2. 倉庫在庫の引当
    • 在庫管理モジュールで、Sales Ordersの内容をもとに在庫を確認します。
    • 十分な在庫があれば、出庫数の予約や在庫引当処理を行います。
  3. 出庫処理(Goods Issue / 出荷)
    • 出荷する製品と数量を選択し、いつ・どの倉庫から出荷するのかを登録。
    • システム上で在庫数が減少し、出荷情報が記録されます。
  4. 請求書(Invoice)や配送伝票との連動
    • 出荷後に請求書(Invoices)を発行し、顧客に送付する。
    • 配送先・配送方法をShipmentなどで管理し、追跡番号を登録しておけば、発送状況もCRM内で追跡できます。

● ワークフローの活用例

  • Sales Ordersのステータスが「出荷完了」になったら、自動的に在庫を減算し、請求書を作成して担当営業や経理に通知する。
  • 一定金額以上の受注が出庫される場合は上長承認を要するフローを入れることで、誤出荷や高額トラブルを防ぐ。

4. 倉庫間の移動(在庫移動)処理

複数の倉庫を運営している場合、「A倉庫からB倉庫への在庫移動」を管理する必要があります。標準のYetiForceCRMには厳密な「倉庫移動伝票」機能がない場合がありますが、以下のような方法で代替的に運用できます。

  1. Warehouseモジュールを複数登録
    • 倉庫が複数ある場合、それぞれを「Warehouse_A」「Warehouse_B」のように登録しておきます。
  2. 在庫移動用のカスタムモジュール or カスタムフィールド
    • 標準の「Purchase Orders」「Sales Orders」を一部流用し、**「移動元倉庫」→「移動先倉庫」**という注文書のような形式で移動を表現します。
    • あるいは、カスタムモジュールを作成し、「移動番号」「移動元倉庫」「移動先倉庫」「移動数」などを記録。
  3. 在庫数の増減処理
    • 移動元倉庫の在庫を減算し、移動先倉庫の在庫を加算する形で処理を行います。
    • ワークフローを用いて「移動依頼データが承認されたら、倉庫Aの在庫を減らし、倉庫Bの在庫を増やす」という自動処理も可能です。
  4. 履歴を追跡
    • いつ・誰が・どの数量を移動したか、承認者は誰かなどをログやコメント機能で残しておけば、在庫移動のトレースができます。

● 運用上のアドバイス

  • 倉庫間移動にあたって、在庫管理モジュールが複数倉庫をサポートしているかどうかを要確認。
  • 必要に応じてプラグインや外部拡張(YetiForce Storeなどで提供されるモジュール)を導入し、本格的な入出庫伝票管理・在庫移動管理を追加機能として取り込むことも検討します。

5. 物流モジュールを運用する際のポイント

  1. 製品マスタ・倉庫情報の整備
    • SKUや倉庫名、在庫管理ルール(安全在庫数など)をきちんと設定することで、入庫・出庫処理がスムーズになります。
  2. 権限管理とログ確認
    • 入出庫や在庫移動は金銭的な影響が大きいため、担当者や上長、経理部門などロールごとに適切なアクセス権を割り当て、改ざんや誤操作を防ぐ。
    • 監査ログ(Audit Trail)を有効化し、誰がいつ在庫を操作したか記録しておくと、万が一トラブルが起きたときに原因を追跡しやすい。
  3. ワークフロー(自動化)の活用
    • 入庫完了時に担当部署へメール通知、出荷完了時に顧客にメール送付、倉庫移動時に管理部門へ承認申請など、繰り返し行われる業務を自動化するとヒューマンエラーを減らせます。
  4. レポートとダッシュボード
    • 倉庫ごとの在庫金額、品目別の出庫数量、入庫履歴などをダッシュボードのウィジェットやレポート機能で可視化すると、経営判断や購買計画の精度が上がります。

6. まとめ

YetiForceCRMの在庫・物流関連モジュールを上手く組み合わせると、「入庫→在庫更新→出庫→請求」といった一連のサプライチェーンをCRM内で一元管理できるようになります。特に以下の点が大きなメリットです。

  1. 顧客・受注情報とのシームレスな連携
    • 在庫が切れているのに受注を受けてしまうリスクを低減し、受注と出荷をリンクして処理できる。
  2. 複数倉庫や倉庫移動の追跡がしやすい
    • 倉庫別在庫の把握や、移動履歴の管理により、リアルタイムに正しい在庫数を維持しやすい。
  3. ワークフローによる自動化と通知
    • 入出庫処理を人手任せにしないで、ステータスや数量に応じたフローを自動化できる。
  4. レポートによる可視化・分析
    • 在庫回転率や品目ごとの入出庫推移などを数値化し、購買計画や営業計画の最適化に活用できる。

導入時には、自社の在庫管理フロー(入庫伝票の有無、倉庫移動手順など)とYetiForceCRMの標準機能・拡張モジュールを突き合わせて、最適な構成を選択することが大切です。必要な場合はプラグインやカスタムモジュールの追加を検討し、ワークフローを活用してミスや重複作業を削減しながら、効率的な物流管理を実現しましょう。